最近、男性不妊不妊原因の約半数を占めることが知られてきました。
では、男性不妊をまねく習慣があるのでしょうか? 婦人科の船曳美也子医師に聞きました。

―生活習慣の観点で、男性不妊をまねく要因とは?

 ◆その1「育毛剤の処方は慎重に」

男性型脱毛症薬、いわゆる育毛剤として病院で処方される薬にプロペシア、アボルブがあります。
男性ホルモンを抑えることで薄毛を改善するのですが、その結果、性欲が減退する、EDになる、精液量が減少する、精子数が減るという副作用がおきてきます。

これまで育毛剤の使用を中止すれば精子数も回復するので、子どもをつくるつもりになったら3カ月前から使用を中止すればよいと考えられていました。
しかし、最近、中止してもその後数年にわたり副作用が継続する状態も報告されていますので、注意が必要です。

◆その2「股間の高温に注意」
精巣はわざわざ体外にありますが、これは体内より2〜3度低く保つためです。つまり、造精機能は高温に弱いのです。

停留睾丸や精巣静脈瘤といった病気で精子が少なくなるのもこのためです。ただ、慢性的に高温になる環境はそうそうありませんし、一時的に減少しても新たに精子はつくられます。とはいえ、妊娠のチャンスを少しでも増やすためには、

・長時間頻回にサウナには入らない
・下着は少しでも風通しよくするようにブリーフでなくトランクスをはく
・風邪などの場合は解熱剤を使用する

などといったことは心がけたほうがよいかもしれませんね。

◆その3「自転車 EDに注意」
スポーツタイプの自転車に1日2時間ほど乗っている方や、スポーツタイプの自転車を通勤に使用している方は、前立腺炎やEDになる可能性があります。
スポーツタイプのサドルは硬く細いため、圧が集中してしまい。
膀胱の下にある前立腺がサドルで圧迫されて、慢性の前立腺炎になります。
また、骨盤底筋を損傷するために勃起に必要な血流を確保しにくくなることも原因になります。
スポーツタイプの自転車に長時間のる場合は、サドルを替える、サドルカバーをつけるなどして圧迫を減らす工夫をしてください。

(聞き手:小池直穂)